西暦21XX年。日本は超高齢化社会となり、老人介護の人手が足りない状況に陥っていた。
もはや、人間を改造して強化する以外に対応策はなかった。
僕は、寝たきり老人の採尿に特化した採尿人間に改造され、採尿具009という備品番号を付けられた。
「6号室の田中さんが漏れそうよ。至急出動して!」
「了解。加速装置で急行します」
とまあ、こういった感じで人間にはできない速度で採尿をこなしていった。
そんな009にも春が来た。
同僚の採血具003といいムードになったのだ。
やっと009にも春が来た。
二人はデートに出かけた。
「ビールはトイレが近くなって困るわね」
「了解。加速装置で急行します。迅速採尿!」
いいムードは壊れた。
(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)